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【インドネシア】進出時の外資規制について徹底解説

  • インドネシアの外資規制とは?その背景と最近の変化
  • ネガティブリスト撤廃後の新制度:ポジティブリストの仕組み
  • 優先分野
  • 特定条件付き分野
  • 中小企業・協同組合との協業が義務付けられる分野
  • 外資に全面開放された分野
  • 外資100%出資が可能となった主な業種
  • 小売業(流通・商業分野)
  • 流通・物流業
  • サービス業全般
  • インフラ・公共サービス関連
  • 外資比率に制限が残る業種:現在も規制対象となる例
  • 運輸・輸送(国内交通)分野
  • メディア・報道分野
  • 建設業
  • 金融・保険業
  • まとめ

インドネシアの外資規制とは?その背景と最近の変化

インドネシアでは、外国企業の参入を制限する「外資規制」が長年存在し、特に一部の業種では外国資本の出資比率に上限が定められてきました。以前は「ネガティブリスト」と呼ばれる規制対象業種の一覧が定められ、リストに掲載された業種では外資100%での進出が認められなかったり、一定割合までしか出資できない仕組みになっていました。 しかし近年、インドネシア政府は投資環境の改善に乗り出し、大規模な規制緩和を実施しました。2020年11月に「雇用創出のためのオムニバス法」が成立し、それに基づく2021年の大統領令(第10号)によって旧ネガティブリストでの外資出資制限の大部分が撤廃されました。この改革により、従来は外資比率の上限があった多くの分野が解放され、原則として外国資本による100%出資が可能となりました。インドネシアにおける外資規制緩和は近年特に大きく進展しており、1980年代にネガティブリスト制度が導入されて以来、最大規模の自由化とも評されています。 こうした制度変更に伴い、2021年には「ポジティブリスト」方式が導入されました。ポジティブリストとは、従来の「外資参入が制限される業種リスト(ネガティブリスト)」とは逆に、基本的に全ての業種を外資に開放しつつ、例外的に制限が課される業種を分類・列挙する方式です。つまり、「特定の制限がある場合を除き、原則として全ての事業分野で外資100%出資が可能」という考え方に転換したのです。このポジティブリストへの転換によって、インドネシアは従来の複雑な外資規制を大幅に緩和し、海外からの投資誘致を一段と促進する姿勢を明確にしました。

ネガティブリスト撤廃後の新制度:ポジティブリストの仕組み

ポジティブリストでは、事業分野が以下の4つのカテゴリーに分類されています。

優先分野

インドネシアの国家戦略上重要と位置づけられる分野で、労働集約的・資本集約的であったり、国家プロジェクトに関連したり、輸出志向型や先端技術を伴う産業などが該当し、約245~246の事業分野が指定されています。 これらの分野に投資する企業には法人税の減免や免税措置、インフラ提供、許認可手続の簡素化といった税制・非税制上の優遇措置が与えられます。例えば、一定額以上の大規模投資には5~20年間の法人税減税(タックスホリデー)が適用されるなど、外資誘致のためのインセンティブが用意されています。

特定条件付き分野

資本は参入できるものの、何らかの追加条件や制限が課される事業分野です。ここには約46の事業ラインが含まれます。条件の例としては、「投資にあたり特別な許認可が必要」「一定の資格や認可を取得しなければならない」など業種固有の要件が課せられるケースや、後述するように外資比率の上限が法律で定められているケースなどがあります。 また、一部の事業はインドネシア人による国内企業に限定されており、外国企業が参入できないものもあります。例えばアルコール飲料の卸売・小売などは、酒類取締に関する別の法律により厳しい規制下に置かれています。

中小企業・協同組合との協業が義務付けられる分野

一定規模以上の企業(外資を含む大企業)が事業参入する場合に、必ず地元の中小・零細企業(MSME)や協同組合とのパートナーシップを組まなければならないとされる分野で、約51の事業分野が該当します。 具体的には、事業許可申請時に「現地中小企業との協業計画書(パートナーシップ・コミットメント)」をOSS(後述)を通じて提出し、中小企業への技術移転や現地調達など協業の具体策を示す必要があります。このカテゴリーは、中小企業の保護・育成と外資との共存を図る目的で設けられており、外資企業単独での市場独占を防ぐ狙いがあります。

外資に全面開放された分野

上記1〜3のいずれにも該当しない全ての事業分野がここに分類されます。これらの分野については外国資本による100%出資が無条件に認められ、事実上制限なく外資系企業を設立できる領域となります。 ポジティブリスト導入後は、リストに特に制限事項が記載されていない事業については「外資100%での参入が可能」というのが新原則になりました 。これは従来のネガティブリスト時代と比べ大きな制度転換であり、海外投資家にとって非常に魅力的な環境整備と言えます。

外資100%出資が可能となった主な業種

前述の改革によって、大半の業種で外国企業が100%出資する現地法人(PMA法人)を設立できるようになりました。インドネシア政府が公表した新規制では、約90%以上の事業分野が外資に対して全面開放されたとされています。その結果、以前は外資参入に制限があった業界でも、現在では外国企業が単独で事業展開できるケースが増えています。 具体的な例を挙げると、以下のような業種で劇的な変化が起きました。

小売業(流通・商業分野)

かつてインドネシアでは、小規模な小売店(スーパーマーケットやコンビニエンスストアなど)の外資参入が厳しく制限されていました。例えば、店舗面積1200平米未満のスーパーマーケット事業は100%インドネシア資本に限られており外国資本は参入不可、400~2000平米のデパートも外資出資比率最大67%までという上限が課されていました 。しかしポジティブリスト導入後は、これら小売業への外資規制が撤廃され、外資100%での出資が可能(外資比率制限なし)となっています。

2023年にエニマインドグループ株式会社がインドネシアに拠点を置くEC支援事業企業PT Digital Distribusi Indonesia(DDI)の株式を100%取得、同社を完全子会社化

同様にインターネット通販・EC(電子商取引)についても、旧制度下では「外資企業は中小企業との提携を条件に参入可能」という間接的な参入しか認められていませんでしたが、現在はこの条件が削除され、外資単独でEC事業を行うことが可能です。これにより、海外の大手EC企業やプラットフォーム企業もインドネシア市場に直接参入しやすくなりました。

流通・物流業

国内のディストリビューター(卸売業者)や倉庫業、貨物フォワーディング業といった物流関連分野も、従来は外資出資比率67%までと制限されていたところ、現在はいずれも外資規制なし(100%外資可)に転換されています。 また、複合一貫輸送業(貨物のマルチモーダル輸送)も旧制度では外資49%までに制限されていましたが、これも規制撤廃されました。これらの変更により、日本や欧米の物流企業がインドネシアで自社拠点を設立し、物流ネットワークを直接運営できるようになっています。事実、インドネシアの流通・物流市場には近年、外資系企業の進出が相次いでおり、競争が活発化していると言われます。

サービス業全般

金融や医療、広告などのサービス分野でも外資規制緩和が進みました。例えば投資ファイナンス会社やベンチャーキャピタルは以前は外資比率85%までの上限がありましたが、現在は100%外資出資が可能です。広告業に至っては、かつて外資参入禁止(インドネシア資本100%のみ、ただしASEAN投資家は最大51%まで)という厳しい規制が敷かれていましたが、これも撤廃され外資企業の自由参入が認められました。 また、ヘルスケア分野では病院事業や専門クリニックが従来外資出資最大67%(ASEAN資本70%)の枠に制限されていましたが、こちらも現在は出資比率の上限規制が撤廃されています。これによって外国資本による病院建設や医療サービス展開が可能となり、インドネシアの医療市場への海外投資が活発化しています。

インフラ・公共サービス関連

通信(電気通信)、交通(運輸)、エネルギー、建設サービスなど、インフラ系の重要分野も大きな変化がありました。2016年の旧ネガティブリストでは、これらの分野は国家戦略上重要であるとして外資比率に厳しい上限が設けられていましたが、ポジティブリストへの移行によりいずれも外資100%での参入が可能となっています。 例えば、電気通信事業(通信塔の運営等)や旅客・貨物運送事業、発電所などのエネルギー事業、さらには大規模建設プロジェクトの分野で、外国企業が単独出資で子会社を設立し事業を行えるようになりました。これにより、インドネシア国内で高速通信ネットワークを構築する通信事業者や、大型インフラを受注する建設・エンジニアリング企業などに海外資本が参入しやすくなり、市場競争や技術導入が進むことが期待されています。

外資比率に制限が残る業種:現在も規制対象となる例

大幅な自由化が進んだ一方で、依然として外資比率の制限や外資参入の条件が残されている業種もわずかながら存在します。初心者の方にもわかりやすいよう、代表的な例を挙げて解説します。

運輸・輸送(国内交通)分野

インドネシア領内での国内海運業(国内航路の船舶運航)や内航海上輸送、国内航空運送業(航空会社)についても、外資の出資比率は最大49%までと制限されています。これらの分野は「カボタージュ(沿岸航行権)」の概念もあり、多くの国で国内輸送は自国企業に限定される傾向があります。インドネシアも国内の海運・航空については外資が過半を握れないようにすることで、自国の運輸産業を保護しています。同様に宅配・郵便等のサービスも戦略分野と位置づけられ、外資49%までの制限対象に含まれます。

メディア・報道分野

新聞や雑誌の発行など報道メディア事業については、会社設立時には外資出資が認められず100%内資でなければならないとされています。ただし事業拡大(増資)の段階で、外国資本の参加が最大49%まで認められる仕組みです。これはメディア企業が国内世論形成に与える影響力を考慮し、当初は完全にインドネシア人資本で設立させることで編集権などの主導権を確保しつつ、事業拡大時には国外からの資金導入も可能にするというバランスを取った規制です。 また、民間の有料放送局(テレビ局など)についても特殊な扱いで、設立時はやはり内資100%である必要があり、将来的な拡張時でも外資出資20%までという非常に厳しい上限が定められています 。このように放送・出版といったメディア分野は他分野に比べ外資規制が依然厳格で、海外企業が単独で参入することは難しい領域です。

建設業

インフラ整備など建設分野は一旦ポジティブリストで外資規制が撤廃されたかに見えましたが、その後の実施規則において「建設事業への外資出資は67%まで(ASEAN加盟国からの投資の場合は70%まで)」との注記がなされました 。これはリスクベースの許認可制度に関する政令(2021年第5号)に明記されています。

したがって、一般的な建設サービス業においては依然として外資は過半を超える出資ができない(地場企業との合弁が必要)という点に注意が必要です。ただし、この規制は主に建設セクター全体に包括的に適用される一般ルールであり、特定の大規模プロジェクトや高度な分野では個別に例外や優遇が認められる場合もあります。

金融・保険業

銀行業については銀行法など別途の個別法で出資比率規制があり、外資による銀行株式保有は単独株主としての上限など細かな規定があります(一般的に商業銀行への単一外国株主上限は99%ですが要許可制)。

保険業では2018年の大統領令(2020年改正)により、外資出資比率は80%までと規定されています。既存の非上場保険会社で施行時に80%超の外資比率だった場合は例外的に存続が認められていますが、新規参入や増資時にはこの80%ルールが適用されます 。証券会社など他の金融業についても個別規制が存在するため、金融セクターへの投資を検討する際は業法ごとのルールを確認することが重要です。

まとめ

インドネシアは近年、ネガティブリストの撤廃とポジティブリストの導入により、外資規制を大幅に緩和しました。これにより、多くの業種で外資100%の出資が可能となり、インドネシア市場への参入障壁が大きく低下しています。 特に、小売・物流・デジタル経済・インフラ・金融などの分野では、従来の規制が緩和され、外資企業が単独で事業を展開できる機会が増加しました。加えて、政府の投資奨励策により、EV産業や再生可能エネルギーなどの成長分野では、外資企業に対する税制優遇や補助金が適用されるケースもあります。 一方で、メディア・運輸・保険・建設などの一部業種では依然として外資比率の上限が設定されており、合弁事業や特別許認可の取得が求められる場合があります。また、新首都ヌサンタラでは外資規制の適用緩和が検討されており、特定分野での投資機会が広がる可能性もあります。 このようなダイナミックな市場環境の中で、日本企業がインドネシアで持続的な成長を実現するためには、最新の外資規制や業界動向を正確に把握し、柔軟な進出戦略を策定することが不可欠です。 リデルタは日本企業が東南アジアの成長を取り込み、アジアでのプレゼンスを高めるべく挑戦する日本企業のために進出支援コンサルティングおよび東南アジアM&Aサービスを提供しています。インドネシア外資規制の最新動向、M&A、合弁戦略、販路開拓支援などを通じて、企業の市場参入リスクを軽減し、スムーズな事業展開をサポートします。 「インドネシア進出」「東南アジアM&A」を検討している企業様は、ぜひ無料相談にてお気軽にご連絡ください。リデルタは、日本企業の東南アジア進出の成功を全力でサポートいたします。

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