M&Aで切り拓くインドネシア市場:注目の産業4選
- はじめに
- ロジスティクス
- 家電消費メーカー
- エンタメ
- IT・SaaS
- 結論
はじめに
東南アジア最大の経済国であるインドネシアには、投資に適した未開発のビジネスチャンスが豊富にあります。堅調に成長を続ける大きな市場と、非常に高い生産年齢人口比率を特徴とするインドネシアは、近年、日本企業にとって最も魅力的な東南アジアM&Aのターゲットとして脚光を浴び始めています。 インドネシアの経済ポテンシャル、豊富な天然資源、急成長する中産階級は、日本の大企業のみならず、インドネシア現地のスタートアップにとっても非常に魅力的な市場です。 インドネシアの中小企業、特にスタートアップの成長は、インドネシア国内の経済情勢の変化を示しており、近年はシンガポールや他の東南アジアからもますます注目を集め、認知度を高めています。 特にインドネシアは若年層が多く、9割以上の人がスマートフォンを持っているスマホネイティブであるためインターネットの普及率が高く特にテック領域における変革の可能性はこれまで以上に大きくなっています。 とはいえ、インドネシアではまだまだ伝統的でテックが介在できていないレガシーな市場も多く、また政治の不安定さも相まってデジタル化が加速している市場とそうでない市場の差が大きくそれによる格差を浮き彫りにしています。 本記事では、インドネシアにおけるダイナミックな市場、特に堅調な収益と長期的な成長が期待される 4 つの魅力的な事業分野の現状とその魅力に迫ります。
ロジスティクス
インドネシアの物流は、主に電子商取引の急成長に牽引されて需要が急増しています。 人口の都市化が進み、インターネットの普及率が高まる中、利便性、多様性、競争力のある価格を求めてオンラインショッピングを利用する消費者が増えています。 インドネシアは東南アジア最大の電子商取引市場の1つとして記録されており、毎年数百万人もの新規ユーザーがオンラインショッピングを新規利用し、ユーザーが増加しています。この傾向は、タイムリーで効率的な配送サービスの需要を満たす上で物流会社が不可欠であるため、物流会社にとって非常に大きなチャンスとなっています。 この消費者行動をデータ化することで大きなビッグデータの源となり在庫、倉庫、ラストマイル配送を効果的に管理するための物流AIソリューションを作り出す可能性を秘めています。 オンラインショッピングやe-コマース利用者の増加は、インドネシアの電子商取引ビジネスを活用するセグメントの拡大と繋がっており、オンライン小売、マーケットプレイス、電子広告、価格比較サービス、旅行、決済システム、物流、金融といった様々なセグメントで観察されています。 インドネシアの大手物流企業JNEの関係者によると、電子商取引とクリエイティブ産業の成長は、物流会社に配送プロセスを通して貢献する機会を開き、ロジスティクス事業の拡大に影響を与えてくれたと述べています。 更に、インターネットの普及に伴いSNS等で情報交換や物の販売機会も増加することでC2C(個人と個人)取引が活発となり、一般消費者の間で商品を直接配送する傾向も増えていることから物流サービスの需要は高止まりしています。 インドネシア物流協会によると、インドネシアの物流し状のCAGRは5%〜8%で成長を推移しており、研究機関の調査結果を基にしたインドネシア商工会議所の試算によれば約7.9%で成長し続けると予測しています。 このような物流業界の成長に伴い、インドネシアでは輸送インフラが大幅に改善されてきており、物流会社の成長を政府一体となって後押しする機運が高まっています。 インドネシア政府は、物流のボトルネックを減らし、群島全体の接続性を向上させることを目的として、道路、港、空港の開発に多額の投資を行ってきました。インフラの強化により、商品の輸送がスムーズになるだけでなく、配送時間とコストも削減され、物流サービスが企業と消費者の両方にとってより魅力的なものになります。
家電消費メーカー
製造業は依然としてインドネシアへの投資にとって魅力的な分野の一つです。2023年の国連統計局報告書によると、インドネシアは製造業の生産に最も貢献する国の一つとなり、生産額は2,410億米ドルに達すると予想されており、インドネシアはアジアで第 5 位、東南アジアでは最高位となります。
この高い製造生産性の理由の1つは、家庭用電子機器の製造部門です。インドネシアの金属、機械、輸送機器、家電製品産業(ILMATE)の成長は2023年に10.7パーセント(前年比)の2桁成長を果たし、約632兆5100億ルピアに達すると予測されています。目覚ましい2桁成長は 2022 年以降から持続しており、国の経済成長率を上回っていることも注目するべきポイントです。 家庭用電子機器産業部門はインドネシア国家経済において最重要な貢献をもたらしており、中央統計局 (BPS) のデータによると、ILMATE 部門の国のGDPへの貢献は4.27%に達すると記録されています。また、2023 年全体の非石油・ガス加工産業の GDP において、ILMATE 部門は25.48 パーセントを占めており、これはつまりほぼ 4 分の 1の貢献をしていることとなります。 この急速な成長は 2 つの要因によって推進されていると推定できます。 一つ目は、国内消費者からの家電商品に対する需要の増加です。インドネシアの消費者の購買力の増加は家庭用電子機器の需要の上昇に影響しており、家電メーカーは国内市場の需要を満たすために生産量を増やそうとしています。 二つ目は、家庭用電子機器製造業の好業績は、輸出市場の需要の増加にも影響を受けています。 2021年では、1~9月までの家庭用品の輸出額は18億ドルを記録し、前年同期比98%増加していたことが分かります。この高成長の理由として、製造業の生産性を高めるためのデジタル技術導入やDXの促進のほかに、政府による産業のビジネス環境をより有利にする多くの政策や支援の影響が考えられます。 インドネシアの製造業、特に家電部門を有する企業をM&Aしていくことは今後東南アジアへの進出、東南アジア地域を獲得していくにあたり必須の投資領域となるでしょう。
エンタメ
インドネシアのエンターテインメント産業は、主に国民の所得水準の上昇により、目覚ましい成長を遂げようとしています。 全ての先進国の国民の嗜好が「モノ消費」から「コト消費」にシフトしてきたのと同様、インドネシアも経済成長に伴ないエンターテインメントにかける支出も徐々に増加してきています。 この傾向は、人々が生活最低限のニーズを超え始めた時に起きる消費者の変化、日常生活における余暇活動の重要性が高まっていることを示しています。 この成長の主な原動力は、オンラインプラットフォーム、特にインドネシアの視聴者数が世界で最も多い国の 1 つとしてランク付けされている YouTube などのビデオ共有サイトの圧倒的な存在感です。さまざまなSNSプラットフォームでのエンゲージメントレベルの高さは、デジタルコンテンツ消費への文化的変化も浮き彫りにしています。この図では、各国のストリーミングビデオを視聴する総時間の増加率(2019~2021年の間)を示しており、インドネシアの増加率は140%に達し、世界最高だという結果でした。この通り、動画コンテンツへの視聴意欲は世界でも上位クラスだということが分かります。
オンライン動画サイトへの視聴が高い理由の一つは、従来の全国規模のテレビ番組は単調で革新性に欠けているため、地上波テレビで放送される番組に不満を持つ視聴者は多く、より魅力的で多様なコンテンツを求め、YouTubeといった無料で手軽にアクセスできるオンライン代替番組に目を向けています。この変化は、エンターテイメント分野の繁栄に対する深いニーズを示しているだけでなく、進化し続ける消費者の欲求を利用しようとしているコンテンツクリエーターやデジタルメディア企業に大きなチャンスをもたらしています。 コンテンツ分野だけではなく、エンターテインメントの需要が急速に高まっているにもかかわらず、この業界を支えるインフラや施設は不十分だと考えられます。ジャカルタなどの主要都市やジャワ島各地でも、コンサートホール、カラオケバー、ゲームセンター、複合エンターテインメント施設などの会場の選択肢は依然として限られています。更に、開発が遅れている地域の都市には、娯楽施設がまったくないことがよくあります。この限られたエンタメにまつわるインフラは、国内企業と国際企業の両方がインドネシアのエンターテインメント産業の可能性を十分に実現する能力を制約し、最終的には戦略的投資を必要とするギャップを生み出します。 この多面的な可能性を活用するために、インドネシアのエンターテインメント産業は重要な岐路に立っています。インドネシアの消費者が多様で質の高いエンターテイメントの選択肢に価値を置き続ける中、企業や投資家にとっては、こうした進化する需要に応える新しいプラットフォーム、革新的な体験、より良いインフラを開発するまたとない機会が存在します。現在の設備のギャップに対処し、エンタメやコンテンツの高い需要を活用することで、斬新で近代化を求める市場で成長に向けた新たな道を切り開くことができます。
IT・SaaS
インドネシアの IT および Software as a Service (SaaS) 業界は、特に急成長する中小零細企業 (MSME) 部門によって促進され、大きな成長の機会をもたらしています。 6,400 万を超える MSME が国の GDP の約 60% に貢献しているため、ユーザーフレンドリーなアプリとサービスの需要はますます上昇しています。中小零細企業の経営者は、会計、人事管理、損益追跡、マーケティング活動などの管理および運用タスクを簡素化する革新的なソリューションを求めています。こうした中小零細企業の経営者が複雑な課題に対処する際、カスタマイズされた SaaS ソリューションを開発することで生産性と運用効率が大幅に向上し、ビジネスのさまざまな側面を合理的な方法で管理しやすくなります。 インドネシアにおけるインターネットの普及の高まりにより、インターネットベースのビジネス管理サービスの需要がさらに加速しています。約2 億人を超えるアクティブなインターネット ユーザーが存在するインドネシアは、東南アジア最大のオンライン市場の 1 つになりました。この広範なデジタル連携により、SaaS プロバイダーがより良いビジネス慣行を促進し、中小企業の全体的なパフォーマンスを向上させる製品を導入するための必然な要素が生まれます。企業が業務管理のためにデジタル ソリューションへの依存を強めるにつれ、インターネット ベースのサービスが不可欠なツールとなり、従来のビジネス慣行と最新の方法論の間のギャップを効果的に埋めることができます。 さらに、インドネシア政府は経済成長を促進する上でのテクノロジーの重要性を認識しており、企業間のデジタル変革を支援する取り組みを開始しています。この環境は、若くてテクノロジーに精通した人口と相まって、IT・SaaS 業界が飛躍的な成長を遂げる態勢を整えています。テクノロジー主導のソリューションを採用する起業家やビジネスリーダーが増えるにつれ、国内外の IT 企業が主要なサービス プロバイダーとしての地位を確立する明らかな機会が生まれます。 SaaS 企業は、堅牢でスケーラブルなユーザー指向のソリューションを提供することで、伸びしろのあるインドネシアが成長できるように支援できます。 ここで、近年インドネシアで最も人気なSaaS企業を一部を紹介します。
- Jurnal(ジャーナル)
インドネシアの中小企業 (SME) オーナー向けに Web ベースの会計ソリューションを作成する SaaS スタートアップです。会計管理の管理プロセスを簡素化できるため、他のより重要な作業に集中できます。彼らが作る製品は、いつでも、どこでも、どんなデバイスからでもビジネスを運営できる利便性を提供します。
- Sirclo(サークロ)
ビジネスオーナーが製品をオンラインで販売できるようにする大手 e コマーステクノロジー企業です。現在、同社は 2 つの主な製品を持っておりSirclo Store と呼ばれる電子商取引ソリューション、およびSirclo Commerce と呼ばれる上流から下流までの電子商取引イネーブラー サービスも提供しています。Sirclo の収益は急速に増加し続けており、2018 年には4 倍にまで成長することができました。
- Jojonomic (ジョジョノミクス)
2015 年に設立された Jojonomic のクラウドベースの財務アプリケーションは、時間のかかる管理作業を削減し、他のより重要なタスクに集中したい企業にソリューションを提供します。このスタートアップは、東南アジアの大企業にサービスを提供する際に、Software as a Service (SaaS)、Business to Business (B2B)、Financial Technology (フィンテック) のビジネス モデルを使用しています。
- Member (メンバー)
Member は、顧客ロイヤルティ プログラムの品質向上を目指す SaaS スタートアップ企業であり、クライアントが長期的に収益性の高いロイヤルティ サービス ソリューションを設計、構築、管理するのに役立ちます。同社は、ロイヤルティ ポイントの使用と交換に関する戦略開発、設計、管理、データ分析などのいくつかの機能を提供することで、インドネシアのロイヤルティ サービスの競争地図を変えるという使命を担っています。
結論
今回紹介した4つの産業はあくまで一例であり、インドネシアはこの他にも多くの産業において強い経済成長を果たしており、さまざまな分野においてまだまだ投資機会が存在します。 この記事では、インドネシアで今ホットな産業の4選であるロジスティクス、家庭用電気製造、エンターテイメント、ITとSaaSを紹介しました。 国の成長に伴い、テクノロジーを活用したソリューションや日本企業による先駆者としての知恵に対するニーズは年々高まっており、30年前の日本と言われるインドネシアだからこそ日本企業がインドネシアへ投資することで莫大な利益を生み出すことができる戦略的投資の実現が可能です。 インドネシアという一見非常に複雑でハードルが高く見える市場ですが、東南アジアの成長を取り込み、アジアでのプレゼンスを高めようと挑戦する日本企業のため、リデルタは専門的なM&Aサービスを提供しています。 現在220名超のローカルエージェントを有するリデルタでは現地のビジネス慣習やマーケットを深く理解し、強力なパートナーシップを構築することが可能となります。 インドネシアだけでなく、ベトナム、マレーシアの案件も多数取り扱っているので、東南アジアへの進出、M&Aをご検討の企業の方はまずはお気軽に無料相談までご連絡ください。
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