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独立記念日を機に考えるインドネシア国有化産業とその歴史

8/17はインドネシア独立記念日

  • 8/17はインドネシア独立記念日
  • 経済的自立を目的とした国有化とは
  • 国有化とは
  • 国有化の背景
  • 主に影響を受けた産業と企業
  • 鉱業
  • 通信
  • まとめ

経済的自立を目的とした国有化とは

8月17日は、インドネシアの独立記念日であり、インドネシア国民のアイデンティティとして欠かせない日です。 現在、独立記念日は国民の祝日となっており、各行政や法人機関で国旗の掲揚式が行なわれたり、様々な行事やパレードが行われるなど、お祝いムードに包まれます。 2024年でインドネシアは独立79周年を迎えることになり、これまで独立記念日のお祝いや式典が毎年全国各地で開催され、母国への誇りとナショナリズムを促進するこの行事は世代から世代へと受け継がれてきました。 インドネシアでは近年、国内の経済活性化を促すために海外投資を増やすべく多くの規制緩和をしてきました。 しかし、最近改めて、ナショナリズムの高まりの傾向があり、特定の戦略的分野における外国企業の影響力を制限し、国有企業を強化する動きが見られます。特に、鉱業やエネルギー分野における国有化政策が再び注目されています。 この国有化(”nasionalisasi”/ナシオナリサシ)の現状を理解することは、インドネシア進出を考える日本企業にとっては、必須と言っても過言ではありません。 本記事では「インドネシアの国有化」「そもそも国有化とは何か」「国有化の背景と現在国有化が強められている産業」について触れていきます。

国有化とは

国有化とは、国家が私企業や産業を所有・管理することを目的に、企業や資産を政府の所有に移行するプロセスを指します。 国有化は、特定の産業が国家の経済的、戦略的利益に重要であると判断された場合に行われることが多く、主に社会主義や混合経済体制の下で見られます。このプロセスは、国家による経済統制を強化し、国内資源の管理を通じて国民の利益を守ることを目的としています。 インドネシアでは、国有化は経済的自立の象徴として重要な役割を果たし、植民地主義の影響を排除し、国家の主権を強化する手段として位置づけられてきました。 過去の代表的な例として、オランダ企業からの国有化があります。 この措置は、植民地主義からの脱却を目指すインドネシアの取り組みを象徴する出来事であり、同時に国としてのアイデンティティを強化する大きな一歩でもありました。 これについては、次の国有化の背景でもう少し触れていきましょう。

国有化の背景

インドネシアの国有化の背景を知るためには16世紀までさかのぼります。 インドネシアは、16世紀初頭からオランダによる植民地支配を受けてきました。 350年以上にわたるオランダの植民地支配の中で、インドネシアは、多くの経済資源や企業をオランダ人や外国の資本家によって支配をされました。 特に、天然資源(石油、ガス、鉱物、農産物)に関する企業は外国資本に依存しており、独立後のインドネシア政府にとってこれらの資源の管理と所有権を取り戻すことは国として重要な課題となっていました。 1945年独立後、初代大統領スカルノは「経済民主化」の一環として外国企業を国有化し、経済的主権を確立しようとしました。 しかし、1960年代には政治的混乱と経済危機が進行し、1965年のスハルト政権成立後、「ニューヨーダー(新秩序)」時代に入り、国有企業の強化と外国資本の導入が進められました。 1997年のアジア金融危機後、IMFの支援を受けながらも戦略的産業の国有化が続き、21世紀には市場経済と国家資本主義のバランスを模索しています。 近年ではナショナリズムの高まりとともに、鉱業やエネルギー分野での国有化政策が再び注目されています。 このようにインドネシアの国有化政策は、歴史的なナショナリズムと経済自主性の追求を背景に進展してきました。

主に影響を受けた産業と企業

国有化される産業は、鉱業、農業、通信など、国益に不可欠とみなされる産業が主となっています。

企業名産業売上規模 (2023年)概要
PT Pertamina石油・ガス約90兆ルピアインドネシア最大の石油・ガス企業で、国内外で事業を展開。
PT Bank Rakyat Indonesia (BRI)金融(銀行業)約120兆ルピアインドネシア最大の銀行の一つで、中小企業向け融資に強み。
PT Telkom Indonesia通信約150兆ルピアインドネシア最大の通信企業で、国内のデジタル経済を支える。
PT PLN (Perusahaan Listrik Negara)電力約400兆ルピアインドネシア全土に電力を供給する企業で、発電、送電、配電を一貫して行う。
PT Garuda Indonesia航空約16兆ルピアインドネシアの国営航空会社で、国内外の路線を運営。
PT Kereta Api Indonesia (KAI)鉄道約30兆ルピアインドネシアの主要鉄道運営企業で、国内の鉄道輸送を担う。
PT Pupuk Indonesia化学(肥料)約70兆ルピアインドネシア最大の肥料生産企業で、国内外の農業支援を行う。
PT Semen Indonesiaセメント約40兆ルピアインドネシア最大のセメント企業で、国内の建設需要を支える。
PT Angkasa Pura I & II空港運営合計で約20兆ルピアインドネシアの主要空港の運営を担当し、空港の近代化と拡張を進める。
PT Perusahaan Gas Negara (PGN)天然ガス約60兆ルピア天然ガスの供給と輸送を行い、インドネシア全土にガスインフラを提供。

鉱業

鉱業セクターは、ニッケル、銅、石炭などの鉱物の豊富な埋蔵量で知られるインドネシアで特に重要な品目です。 最近の規制では、外国の鉱業会社は、インドネシアで一定期間操業した後、最大51%の株式を国内投資家に売却することが義務付けられています。 この要件は、採掘事業による経済的利益の大部分が国内に留まるようにすることを目的としている。 さらに、政府は追加の現地調達要件の施行に熱心で、外国企業に国内で材料を調達することを強い、それによって地元の経済と産業を活性化させている。 このような政策は、資源採掘と地域社会の福祉を結び付け、採掘事業によって引き起こされる環境悪化と社会的影響に関する懸念を軽減することを目的としています。 しかし、多くの企業が資産のかなりの部分の管理権を手放すことをためらう可能性があるため、これらの規定は外国投資を阻む可能性があります。

通信

通信部門は、国有化の傾向が顕著な分野です。 この分野は、インドネシア政府は外国の所有権を制限するだけでなく、国際的な通信大手と競合する国有企業の設立を推進しています。 政府は、通信領域に参入したい外国企業に現地パートナー要件を義務付けており、外国企業であってもその所有権の一部がインドネシア企業になるようにしています。 さらに、インドネシア国内における電子商取引の爆発的な増加により、政府は外国のテクノロジー企業を精査し、ユーザーデータがインドネシア国内に保存されるよう保証するデータローカリゼーション法の遵守を義務付けています。 この規制は、インドネシアの国家安全保障を強化し、ローカルのテクノロジー企業の発展を促進すると同時に、外国企業にとって大きな参入障壁を作ることを目的としています。 このように特定の重要産業(エネルギー、通信、農業、輸送など)では、外資の参入に制限がかけられており、国有企業が主導的な役割を果たしています。 一方、特定の産業をのぞいて外国企業による投資の規制緩和が進んでいることも確かで、2020年10月には、外資の参入を促進するオムニバス法が制定されました。 オムニバス法によって外資系企業が簡単にインドネシアで事業を展開できるようになり、これまで取得することが非常に大変であったビジネスライセンスの取得手続きが簡略化されました。 このように、インドネシアの国有化政策と外資規制の緩和は、時代や政治的・経済的状況に応じて変動してきました。 国有化は、インドネシア独立直後の時期において、経済主権を確立するための手段として積極的に推進されましたが、経済成長とグローバル化の進展に伴い、外資規制の緩和が進められました。 オムニバス法は、こうした外資規制緩和の流れをさらに進め、インドネシアを外国投資家にとって魅力的な市場とするための政策的手段として機能しています。 しかしながら、戦略的産業における国有企業の重要性は依然として高く、これらの企業は国家の経済政策において重要な役割を担っています。 インドネシア進出およびインドネシアM&Aは、インドネシアが国としてどの産業を保護し、どの産業で外国投資を誘致したいかを把握することが非常に重要であり、その文脈を汲み取って戦略を立てることが重要です。 そしてそれを理解することができればインドネシア進出は非常に勝率の高い投資となると言えるでしょう。

まとめ

インドネシアの国有化と独立記念日が持つ意味を考えると、これらは共に国家の主権と経済的自主性の象徴として、インドネシア国民にとって非常に重要な日であることがわかります。 独立記念日は、インドネシアが外国の支配から解放され、国家としてのアイデンティティを確立した日です。 そして、その過程で、経済的な独立を達成するために、多くの産業が国有化されました。 一方で、経済成長と国際的な競争力を高めるためには、外資の参入も不可欠であり、オムニバス法のような規制緩和は、この流れを加速させるものでした。 しかし、国有化された産業は依然としてインドネシアの戦略的資産であり、これらを守りつつ、外資を引き寄せるバランスを取ることが、インドネシアの持続的な成長にとって鍵となります。 インドネシアの独立記念日に再確認されるナショナリズムの高まりは、国有企業の役割を強化し、特定の産業を守る動きを後押ししていますが、同時に、オムニバス法が示すように、国際的な投資の波に乗り遅れないようにするための柔軟な対応も求められています。 この二つの視点を理解し、インドネシア進出を図ることが、成功への鍵となるでしょう。 インドネシアという一見非常に複雑でハードルが高く見える市場ですが、東南アジアの成長を取り込み、アジアでのプレゼンスを高めようと挑戦する日本企業のため、リデルタは専門的なM&Aサービスを提供しています。 現在220名超のローカルエージェントを有するリデルタでは現地のビジネス慣習やマーケットを深く理解し、強力なパートナーシップを構築することが可能となります。 インドネシアだけでなく、ベトナム、マレーシアの案件も多数取り扱っているので、東南アジアへの進出、M&Aをご検討の企業の方はまずはお気軽に無料相談までご連絡ください。

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