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インドネシア海外M&A

インドネシアの旅行市場徹底分析

  • はじめに
  • 市場とトレンド
  • 投資環境と規制フレームワーク
  • 外資参入の緩和と投資インセンティブ
  • インフラ整備による投資環境の向上
  • 市場予測と今後の展望
  • まとめ

はじめに

インドネシア旅行市場は、近年力強い成長を遂げており、インドネシア経済における重要度を増しています。インドネシアにおいて旅行業界はGDPの約5%を占め、1,200万人以上の雇用を支える主要セクターです。特に、新型コロナウイルス禍からの回復が目覚ましく、2022年には旅行業界の経済規模が対前年比29.5%増の約1,008兆ルピア(約9.2兆円)に達しました。政府の戦略的な観光振興策やインフラ投資も追い風となり、インドネシアは東南アジア有数の観光大国として存在感を高めています。 日本企業にとって、こうしたインドネシア旅行市場の拡大は大きな魅力と言えます。世界的に知られる観光地バリ島のみならず、新興の観光地開発や旅行テック分野で投資機会が増えています。巨大な国内旅行需要と回復基調にあるインバウンド(外国人観光客)市場を抱えるインドネシアは、日本の旅行会社や投資家にとって、事業展開や資本参加の余地が広がる注目すべき市場です。 本記事では、インドネシアの旅行市場についてデータに基づき解説し、市場の動向やトレンド、成長予測などの今後の展望をお伝えします。

市場とトレンド

インドネシア旅行業界は、過去5年間においてパンデミックによる外国人観光客の訪問者数の急減とその後の急回復という劇的な推移を辿りました。

2019年には外国人観光客の年間訪問者数は過去最高の1,610万人を記録しました。しかし、2020年から2021年にかけてのコロナ禍により、国境封鎖の影響で訪問者数は大幅に減少しました。2022年以降は回復傾向にあり、2023年は前年比98%増となり、2024年には1,390万人に達し、コロナ前の水準(2019年比で約86%)に迫りました。 一方、国内旅行市場はインドネシア経済の底堅さを反映し、コロナ禍からの回復がより早く進みました。UNWTOによれば、2022年のインドネシア国内観光旅行の延べ件数は約7億3400万件に達し、パンデミック前に匹敵する水準となりました。2023年は更に増加し、1〜8月時点で6億7,460万回の国内旅行が行われており、既に2022年の同時期実績を上回りました。このように旺盛な国内需要は、外部要因に左右されにくい市場の安定剤として機能しています。 また、旅行テック(オンライン旅行市場)も著しい成長を見せています。オンラインで旅行商品を予約・購入する市場規模は、2017年に約990兆ルピア(約9兆円)でしたが、コロナ禍で2020年に520兆ルピアまで落ち込んだ後、2022年には約970兆ルピア(約8.9兆円)と急回復しました。 2023年には1,280兆ルピア(約11.7兆円)規模に拡大する見通しで、2017~2027年の年平均成長率は7%と予測されています。オンライン旅行代理店(OTA)の寡占化も進んでおり、2022年時点で、現地発のユニコーン企業TravelokaとTiket.comの2社で市場の72%を占有しています。

なかでも、Travelokaは単独で約51%のシェアを握り、総合旅行スーパーアプリとしてホテル・航空券から決済サービスまで幅広く展開しています。Tiket.comもEC大手Blibliとの連携により追随しており、海外勢ではAgodaやBooking.comなどが存在感を示しています。 また、政府の観光振興策も市場トレンドに大きな影響を与えています。インドネシア政府は「10の新たなバリ」構想を掲げ、2019年以降、バリ島以外の有望観光地への開発投資を加速しました。

現在は、その中でも選定された5つのスーパープライオリティ観光地(スムトラ島トバ湖、ジャワ島ボロブドゥール、ロンボク島マンダリカ、東ヌサトゥンガラ州ラブアンバジョ、北スラウェシ州リクパン)に注力し、交通の容易化のためのインフラ整備やプロモーションを集中的に展開しています。 これにより、バリ島に集中しがちな観光客を他地域に分散させる狙いがあり、環境悪化や過度な集中を是正するとともに全国的な観光収益の底上げが図られています。また、ワールドクラスのイベント誘致やスポーツツーリズムの推進にも力を入れており、MotoGPレースの開催(ロンボク島)などによって新興観光地への注目を集めました。さらに、観光ビザ要件の緩和や海外向けプロモーション強化により、2022年以降主要国からの訪問者数も着実に回復しています。

投資環境と規制フレームワーク

外資参入の緩和と投資インセンティブ

インドネシアの旅行業界における投資環境は、近年大きく改善されています。外資参入規制については、ホテル業をはじめ多くの分野で規制緩和が進み、例えば3つ星以上のホテルやヴィラは外国資本100%での所有・運営が認められています。旅行代理店業も外資による現地法人設立が可能で、必要な投資計画を提出し許認可を受ければ営業できます。 また、2021年施行の「ポジティブ投資リスト」により、以前は制限のあった観光関連セクターへの外国直接投資(FDI)が容易になりました。実際、2023年のホテル・レストラン分野へのFDI実行額は約8.1億ドル(約1,220億円)に達しており、投資マインドの高まりが数字に表れています。 政府の支援策と法制度も、観光分野への投資を後押ししています。2020年の包括的雇用創出法(オムニバス法)により事業許認可手続きが簡素化され、観光業の起業に必要な手続きもワンストップ化されました。 特に、観光開発地域では、特別経済区(SEZ: Special Economic Zone)の指定を通じて魅力的なインセンティブが提供されています。

観光SEZに投資する企業は、最長20年間の法人税免除や付加価値税・贅沢税の免除、輸入関税の免除といった税制優遇を享受できます。さらに、ワンストップでの許認可取得や外国人による不動産所有の容認(観光SEZ内)など、行政手続きの緩和・支援措置も整備されています。 例えば、リゾート開発が進むロンボク島マンダリカや北スラウェシのリクパンは観光特区に指定され、投資家は税優遇や用地取得の容易さといったメリットを受けられます。また、政府は2023年10月に「インドネシア観光促進基金」の創設を発表し、国家予算からの資金供給で高品質かつ持続可能な観光プロジェクトを支援する方針です。この基金は国際会議・文化イベント・スポーツ大会等の開催支援に充てられ、外国人観光客の誘致と地方観光地の開発を金融面から後押しする狙いがあります。

インフラ整備による投資環境の向上

インフラ整備も投資環境改善における重要な要素です。政府は、観光地へのアクセシビリティ向上のため、空港、新規道路、港湾の建設について積極的な姿勢を見せています。2023年には1兆2,200億ルピア(約112億円)の予算を投じて国内各地に7つの新空港建設を開始し、特に観光戦略拠点であるコモド(ラブアンバジョ)やワカトビ、トバ湖などの空港拡張・改修に注力しています。 高速道路網や鉄道の拡充も進み、主要観光地間の移動時間短縮による旅行の利便性向上が期待されています。例えば、ジャワ島では世界遺産ボロブドゥールへのアクセス改善のため国際空港(ジョグジャカルタ新空港)の開港や周辺道路の整備が行われました。これらの官民連携によるインフラ投資は、観光客の満足度向上と投資対象地域の価値向上につながっています。

市場予測と今後の展望

インドネシア旅行業界の先行きは明るく、中短期的にも更なる高成長が見込まれています。 世界旅行ツーリズム協議会(WTTC)の予測によれば、インドネシアを訪れる国際観光客数は2033年までに約2,998万人に達し、2023年比で年平均11.8%増の成長が見込まれます。これは同年に外国人観光客がインドネシアで消費する旅行支出額が約4,888兆ルピア(約44.7兆円)に達する計算で、旅行業が引き続き国内経済成長の原動力となる見込みです。短期的にも、2025年前後にはインバウンドがコロナ前の水準(2019年=1,610万人)を上回り、新興観光地への分散効果も相まって観光収入は過去最高を更新すると期待されています。 国内旅行についても、堅調な経済成長と中間層の台頭に支えられ、中長期でさらなる拡大が予想されます。政府は2019年に国内観光旅行2億7,500万回という目標を掲げましたが、実際にはそれを大きく上回るペースで利用者が増えています。地方へのインフラ投資やデジタル普及によって、地方都市や村落の観光資源がよりアクセスしやすくなり、国内旅行需要が一段と喚起されました。経済発展に伴う可処分所得の増加で、レジャーや観光への消費は今後も高まり、旅行市場全体の拡大が続くでしょう。 また、技術革新の影響も無視できません。インドネシアはデジタルサービスの受容性が高く、旅行業界でもモバイルアプリやオンライン決済の普及が旅行需要を押し上げています。大手OTAによるAIを活用したパーソナライズ提案やダイナミックプライシングが一般化し、旅行商品の最適化・多様化が進んでいます。また、SuperApp化した旅行プラットフォーム上で航空券・ホテルのみならず、現地アクティビティやレストラン予約まで一括手配する動きが定着しつつあり、ユーザー体験の向上が市場成長に寄与しています。 さらに、持続可能な観光への移行が重要なテーマとなっています。気候変動や環境保全への意識が高まる中、エコツーリズムや地域コミュニティ主導の観光開発が注目を浴びています。インドネシア政府もサステナブルツーリズムを国家戦略に位置付け、電気自動車や再生可能エネルギーの導入、観光地でのプラスチック削減といった取り組みを支援しています。観光業でも、大手リゾート企業がプラスチックフリー施策を導入するなど民間主導のイニシアチブが進んでいます。持続可能性に配慮した高付加価値の「質の高い観光」へのシフトは、観光客一人当たり支出の増加にもつながり、今後の業界成長を支える鍵となるでしょう。

まとめ

インドネシアの旅行業界は、人口約2.7億人の内需と豊富な観光資源、そして政府の後押しによって、今後も高い成長ポテンシャルを維持すると考えられます。パンデミックを経て市場はレジリエンス(復元力)を実証し、デジタル化や新規開発を追い風に新たな段階へ移行しています。日本企業にとって、この成長市場への参画機会は多岐にわたります。例えば、日本企業には次のような参画機会が考えられます。 ・ホテルやレジャー施設への出資参画 ・現地旅行会社との提携 ・旅行テック企業との協業 すでに多くの日系企業がインドネシアのホテル経営やインバウンド誘致で実績を上げており、今後もその存在感は増すでしょう。 また、インドネシア政府は旅行・観光産業を経済発展の柱の一つと位置付け、継続的な支援と市場環境の整備を表明しています。これに伴い、市場拡大の期待値は高く、投資家にとっては中長期的な成長による恩恵を享受できる魅力的なフィールドです。 このように、インドネシア旅行市場のダイナミックな成長に注目しつつ、日本企業は現地の文化やニーズへの理解を深め、持続可能かつ相互に利益のある形でこの市場に関与していくことが求められます。そのためには、現地の市場トレンドや規制動向を深く理解した上で、柔軟な戦略策定が不可欠です。 リデルタは日本企業が東南アジアの成長を取り込み、アジアでのプレゼンスを高めるべく挑戦する日本企業のために進出支援コンサルティングおよび東南アジアM&Aサービスを提供しています。現在では、220名を超えるローカルエージェントを抱え、現地のビジネス慣習やマーケットを深く理解しており、東南アジア各国の経済市場の最新データ分析、オンラインプラットフォーム戦略、金融機関との提携支援などを通じ、企業の市場参入リスクを軽減し、成功に導くお手伝いをしております。 また、弊社では多くの現地販路ネットワークをもつパートナーやインドネシアのみならず他の東南アジア諸国の案件もご紹介しておりますので「東南アジアへの進出」「東南アジアM&A」をご検討の企業のご担当社様は是非お気軽に無料相談にてご連絡ください。 リデルタが日本の産業を東南アジアで拓くための一助となれることを心より楽しみにしております。

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