ベトナムM&Aの魅力:なぜ日本企業がベトナム市場を狙うべきか
- イントロダクション
- ベトナムへの投資の現状とトレンド
- ベトナムの産業について
- 第1次産業(16.2%)
- 第2次産業(38.1%)
- 第3次産業(45.8%)
- ベトナムの強みと成長ポテンシャル
- 安価な労働力
- 地理的優位性
- 高い経済成長率
- M&A 注目産業
- 注目産業 1 : 医療&製薬
- 注目産業 2 : 金融&フィンテック
- ベトナムにおけるM&Aの特徴と日本企業へのメリット
- まとめ
イントロダクション
ベトナムは、2023年の調査によれば人口約1億人、世界第16位、国土面積は約33万㎢で世界第65位の広さを誇ります。 GDP及び人口推移、世帯所得分布は増加傾向が続き、日本が高度経済成長で歩んできた道と同様、中間層が急激に増加しています。
出所:IMF - World Economic Outlook Databases
出所:経済産業省『医療国際展開カントリーレポート ベトナム編』2021.3
中間層の急増に伴い、モノだけでなく、コト市場、たとえば教育、医療、レジャーなどのさまざまな分野での消費意欲が旺盛になると予想され、日本企業にとってベトナム市場への投資・M&Aは魅力的、かつ、今後ベトナム市場参入の重要性は更に高まっていくと考えられます。 実際に日本企業のベトナムへの投資件数と投資額は以下のグラフのとおりコロナ禍後は増加傾向にあります。 また、OECDの製品市場規制(PMR)指標によると、ベトナムの規制政策は中国などの近隣の競合国や南アフリカ、ブラジル、アルゼンチンといった他の新興市場経済国と比較して、オープンな市場となっており、日本企業のみならず、世界的にベトナムへの投資・M&Aが進むことが予想されます。
ベトナムへの投資の現状とトレンド
近年、日本企業によるベトナムへの投資は注目を集めており、その件数と投資額は以下のとおりとなっています。
出所:外国投資庁(FIA)
投資件数は、新型コロナウイルス感染症の最盛期である2019~2020年を過ぎてからは増加傾向で、投資額も2022年が最も多くなってはいるものの、概ね同様の傾向にあります。 この背景には、ベトナム政府よる外国投資に関する政策の制度化・強化が寄与しており、2021年に施行された「ベトナム外国投資法(61/2020/QH14)」において、外国からの投資に関する諸条件が示されたことで、ベトナムへの投資機会が世界的に拡大していることが挙げられます。
ベトナムの産業について
出所:国連(データ対象: 2018)、CIA - The World Factbook
現在のベトナムのGDP別産業構造は上のグラフが示すとおり第3次産業が最も大きく、第1次産業が最も少なく、ベトナムにおける各産業の特徴は以下のとおりです。
第1次産業(16.2%)
農業 ベトナム経済の基盤を支える重要なセクターで、主に米やコーヒー、果物などの農産物を生産し、国内消費だけでなく輸出にも貢献しています。 一方で、農業の近代化や効率化が進まず、成長率が比較的低いという課題があり、持続可能な農業の実現や技術革新が求められています。 ベトナムより効率的、かつ生産性高い農業を実現している日本にとっては、ベトナムの農業市場に参入し、日本の技術やノウハウを持ち込むことでベトナムの抱える農業の非効率を解消することができ、ここに日本企業がベトナム進出、M&Aをする投資妙味があります。
第2次産業(38.1%)
建設業 ベトナムの建設産業は2024年に9.8%の成長が予想され、特にインフラや運輸部門への政府支出の増加が市場の拡大を牽引すると見込まれています。政府は社会住宅計画にも注力しており、2030年までに100万戸の供給を目指して120兆ドンを投じる計画が進行中です。さらに、国内市場だけでなく海外市場にも成長の機会があり、ベトナムの建設会社はアフリカ市場にも進出しており、2024年以降も持続的な成長が期待されています。 製造業 ベトナムにおいて製造業はGDPの20%以上を占めており、各業種の中で最大の割合を占めています。 衣料品、電子機器、自動車部品など多岐にわたる製品が生産され、輸出及び雇用創出の重要な柱となっています。
第3次産業(45.8%)
小売業 東南アジア全体に共通することですが、小売は従来の街の小さい個人商店での購入である伝統的小売からテクノロジーの普及に伴い先進国同様オンライン主軸の購買へとシフトしました。 この購買様式の変化に伴い消費者の購買行動は物理的制約から解放され、国内の消費は爆発的に伸びています。 また、大型モールやデパートの建設も加速しており、海外ブランドの消費も活発化しています。 特にMade in Japanはベトナムでも人気で、ある種のブランドとなっているため、日本のファッション、化粧品、健康、スポーツといったメーカーが徐々に参入する傾向にあります。 観光業 ベトナム国家観光局によると、2023年には約1260万人の国際観光客がベトナムを訪れ、678兆VNDの収益を上げました。 2024年に向けて、観光業は1700万〜1800万人の国際観光客と1億1000万人の国内観光客を目指し、収益は約840兆VNDに達する見込みです。 この成長は、オープンなビザ政策に起因しており、観光業の復興に向けて、政府および国家観光局は観光関連の制度や政策の改善を進めています。 このような観光業の人気と、それに伴う政府や国家機関の取り組みは、ベトナムの観光業が今後も成長し続けることを示唆しています。 情報・通信 ITサービスや通信インフラの整備が進み、テクノロジー関連のスタートアップが増加してきています。 背景として、ベトナムはハノイを中心に理系人材の高度化が加速しており、優秀なソフトウェアエンジニアがハノイ大学やハノイ工科大学を中心に輩出されています。 日本や欧米企業のオフショア開発を専門とする会社も増えており、情報通信部門は急成長を遂げています。 ベトナムは中国、インドの次に到来するIT人材のメッカとして注目されており、日本企業のオフショア開発拠点として日本のIT企業がどんどんM&Aをしていく流れが加速することが想定されます。
ベトナムの強みと成長ポテンシャル
ベトナムは近年急速な経済成長を遂げており、その背景にはベトナムという国ならではの以下の特徴があります。
安価な労働力
ベトナムは年々人口が増加しており、特に20代〜30代の生産人口が増加している点が特徴です。 そのため、豊富な労働力を持ち、労働コストが他国に比べて安価であるため、製造業にとって非常に魅力的な投資先となっています。
地理的優位性
ベトナムは東南アジアの中心に位置しており、中国やインド、ASEAN諸国へのアクセスが容易というメリットがあります。 この地理的な優位性により、ベトナムに拠点を置くことで東南アジアにおける物流コストの低減や輸出入が円滑に行われ、ビジネスの効率を高めることができるメリットがあります。
高い経済成長率
近年のベトナムの経済成長率は5.05%を記録し、世界37位(189カ国)と日本の126位と比しても非常に高い順位となっています。 主な理由として、外資企業の受け入れによる製造業の成長、規制緩和による輸出の増加、そして中間層の拡大による国内消費の拡大が挙げられます。 今後も政府は積極的な経済改革に取り組んでいく予定であり、持続的な経済発展が期待されています。
M&A 注目産業
注目産業 1 : 医療&製薬
市場構造 ベトナムのヘルスケア市場は、急成長中のセクターの一つであり、特に医療サービスと製薬産業に大きな可能性があります。 医療サービスは公立病院、私立病院、クリニックが存在し、製薬産業は国内外の企業が活動しています。 特に、国内企業はジェネリック薬の製造に強みがありますが、国際的な製薬企業も高度な医薬品の供給で重要な役割を果たしています。 市場規模 2020年にはヘルスケア市場の規模が約16.2億ドルに達し、GDPの6%を占めるまでに成長しました。 2025年には23.3億ドル、2030年には33.8億ドルに達する見込みで、製薬支出も2021年に約6.6億ドルを超えました。この急成長は、人口の高齢化、所得の増加、医療サービスの需要増加によって支えられています。 近年の変化 近年、ベトナム政府はヘルスケア産業の改革を進め、医療サービスの質向上と医薬品の供給を強化しています。 政府の目標には、2030年までに製薬輸出で年間10億ドルを稼ぐことが含まれています。また、医療設備の製造や医薬品の流通も外国投資家にとって魅力的な分野となっています。 ベトナムの中流階級の成長、高齢化する人口、公共病院システムが抱える課題、そして良質なヘルスケアの重要性に対する認識の高まりは、日本企業が高品質な医療サービスや製薬製品を提供する絶好の機会となっています。 特に、低コストの労働力と生産コストが魅力的で、現地での生産ラインの設置やベトナム企業との提携を通じて、国際市場に製品を輸出する戦略が考えられます。
| ベトナム医療・製薬業界M&A締結リスト(2023) | |||
|---|---|---|---|
| 買い手(国) | ベトナム売り手 | 金額(ドル/円) | 取得割合(%) |
| あすか製薬株式会社 | Ha Tay Pharmaceutical Joint Stock Company | 740万ドル | 32.6% |
| Thomson Medical Group | FV Hospital | 3億8140万ドル | 100% |
| Dongwha Pharm | Trung Son Pharma | 3000万ドル | 51% |
| Adamed Pharma | Dat Vi Phu Pharmaceuticals JSC | 未公開 | 100% |
表は2023年度にM&Aが締結された外資医療・製薬企業リストです。 ベトナムは、外国企業にとっての市場参入障壁を下げるために外資規制を緩和しており、特に、EU-ベトナム自由貿易協定(EUVFTA)は、ベトナム市場における高品質の医薬品の利用可能性を高め、外国企業の利益を増やすことを目的として、関税を低く設定し、100%外資系企業の設立を許可しています。これにより、日本企業も含む外国投資家にとって、ベトナムでの事業展開がより容易になっています。 実際に医療・製薬業界では、外資企業による複数のM&Aが行われています。 安価な労働力と低い生産コストを背景に、ベトナムの製薬企業は外国企業にとって魅力的な投資対象となっています。 ベトナム国内でもたくさんのヘルステックスタートアップが立ち上がり始めており、JioHealthやMed247は東南アジアのVCや著名投資家から大型の資金調達を実施しています。 上述の通り、政府は2030年までに10億ドルの医薬品輸出を目指すという目標を掲げており、自国の技術を高めるために外国投資を積極的に誘致しています。 このような背景からヘルスケア、医薬品の領域は日本企業にとって参入する追い風が吹いていると言えます。
注目産業 2 : 金融&フィンテック
ベトナムの金融市場は、まだまだ発展途上であるものの、急成長しており消費者サービス関連のフィンテックが魅力的です。
出所:e-Conomy SEA 2023 report
グラフはベトナムのデジタルエコノミーの変遷を表した図です。デジタルトランスフォーメーション(DX)は、ベトナムの金融セクターにおいて重要なトレンドとなっており、政府は、国のデータウェアハウスの構築を進め、デジタルデータの活用を促進しています。 ベトナムの銀行は日本同様に、従来の店舗型からオンラインバンキングサービスを積極的に推進しており、金融のデジタル化が爆発的に加速しています。 先述の通りベトナムのEコマース市場は急速に成長しており、オンラインでの購買とそれに伴う金融サービスのオンライン化は切っても切り離すことができず今後ますますフィンテック市場の拡大と投資は進んでいくと推測されます。 特に、若年層の消費者はEコマースを利用する傾向が強く、所得の増加が見込まれる若年層の財布をいかに獲得するかについて企業は戦略を立てる必要があります。
ベトナムにおけるM&Aの特徴と日本企業へのメリット
日本企業によるベトナム企業のM&Aの特徴は、取引金額が比較的小規模であることです。 投資対象となるベトナム企業の多くが中小企業となっており、買収する日本企業の多くも未上場企業となっています。 2023年のデータを見ると日本企業によるベトナム企業の投資件数は470件、投資金額は約38億USDとなっており、1件あたりの取引金額は810万USD(約13億円)以下となっています。 このようにまだベトナムの企業の多くが比較的小規模であるためで、日本企業にとっては少額の投資でベトナム企業をM&Aできるメリットがあります。 懸念材料としては、ベトナムの中小企業は内部管理が不十分な場合が多く、また帳簿も二重帳簿、三重帳簿であることが多いため、デューデリジェンスやバリュエーションや契約交渉に時間と労力がかかることが挙げられます。 このため、交渉にはベトナムM&Aのプロフェッショナルを活用することが重要となります。
まとめ
ベトナムは、近年急速な経済成長を遂げており、国内の中間層も拡大していることから、非常に魅力的な市場です。 特に、安価な労働力と地理的な優位性は、製造業をはじめとするさまざまな産業において、コスト競争力を高める要因となっています。 さらに、政府の積極的な経済政策と外資誘致により、ベトナム市場は今後も持続的な成長が見込まれており、これに伴いM&Aの機会も増加しています。 日本企業がベトナム市場へ参入することで、アジア全体での競争力を強化し、新たな成長ドライバーを得ることができると考えられ、特にヘルスケアや金融などの分野では大きなシナジー効果が期待されます。 ベトナムという一見非常に複雑でハードルが高く見える市場ですが、東南アジアの成長を取り込み、アジアでのプレゼンスを高めようと挑戦する日本企業のため、リデルタは専門的なM&Aサービスを提供しています。 現在220名超のローカルエージェントを有するリデルタでは現地のビジネス慣習やマーケットを深く理解し、強力なパートナーシップを構築することが可能となります。 ベトナムだけでなく、インドネシア、マレーシアの案件も多数取り扱っているので、東南アジアへの進出、M&Aをご検討の企業の方はまずはお気軽に無料相談までご連絡ください。
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