インドネシア新版OSS-RBAシステムとそのビジネスへの影響
- OSS-RBAとは?
- OSS-RBAの仕組み
- 低リスク事業
- 中リスク事業
- 高リスク事業
- OSS-RBAを活用するメリット
- 許認可手続の迅速化
- 透明性・予見性の向上
- 低リスク事業者の事業開始ハードル低下
- 外資企業にとっての利点
- OSS-RBAの適用業種と外資規制との関連
- OSS-RBA導入による進出しやすくなった業種と注目分野
- まとめ
OSS-RBAとは?
OSS-RBA(オンライン・シングル・サブミッション-リスクベース・アプローチ)とは、インドネシア政府が2021年に導入したオンライン上の事業許認可申請システムで、事業のリスクに基づいて許認可手続きを行う仕組みです。 名称の通り「リスク・ベース」のアプローチを採用しており、設立する会社の事業活動を低リスク・中リスク・高リスクに分類し、それぞれのリスクレベルに応じて必要な許認可の種類や監督の内容・頻度が決定されます。このリスクに応じた許認可管理により、従来のOSSよりも申請手続きが簡素化され、迅速化が図られています。
OSS-RBAウェブサイト
従来は2018年に初めてオンラインでの事業許認可システムとして旧OSS(OSS 1.1)が導入されました。 しかし、2021年8月に投資環境の改善と行政手続の簡素化を目的に、「雇用創出法(オムニバス法)」の施行の一環として、ジョコ・ウィドド大統領によって新バージョンであるOSS-RBAが正式にローンチされました。 旧OSSでは事業許可取得後に追加条件を履行する「コミットメント型」でしたが、新OSS-RBAでは事前に事業のリスク区分ごとに必要手続きが定められる点が大きな違いです。 つまり、リスク評価に基づき許認可要件が最初から明確化されており、ビジネスの種類によって必要な申請プロセスが異なる仕組みになっています。このようにOSS-RBAは、各官庁の許認可情報を一元化しワンストップで手続きを可能にする新システムであり、企業は一つのオンラインプラットフォーム上で事業登録から許可申請まで完結できるようになりました。
OSS-RBAの仕組み
OSS-RBAが採用するリスクベースアプローチでは、事業の種類ごとに想定されるリスクの高さに応じて分類が行われ、リスクレベルに応じた許認可手続きや規制が適用されます。 インドネシア政府は政令2021年第5号(PP 5/2021)により全ての事業分野(KBLIコード)についてリスク分類を定めており、それに基づいて必要な手続きが変わります。 リスク区分は大きく「低リスク」「中リスク」「高リスク」の3段階(実務上は各リスクの中でも高・低で細分化されている)に分かれており、それぞれ以下のような許認可プロセスの違いがあります。
低リスク事業
事業者番号(NIB)の取得のみで事業開始が可能です。
NIBの例
NIBとは営業許可を兼ねた事業者固有番号で、低リスク分野では追加の許可申請をせずにビジネスを始められます。
中リスク事業
NIBに加えて一定の基準適合が求められます。具体的には各業種ごとに定められた標準(基準)への適合を自己申告し、自動発行される「標準証明書」を取得する必要があります。つまり中リスク事業では、登録後に所定の技術的・運用上の条件を満たすことで正式に事業継続が認められる仕組みです。
高リスク事業
厳格な許認可取得が必要となります。NIB取得後、さらに関係官庁からの個別の営業許可(イジン:izin)を取得しなければ事業を開始できません。また環境影響評価や建築許可など、複数の追加許可・承認が求められるケースも多く、当局による詳細な審査や現地調査(監査)が行われるため、他のリスク区分に比べ手続き期間も長くなります。
OSS-RBAを活用するメリット
許認可手続の迅速化
リスク分類に応じた許可発行により、低リスク事業ではNIB取得のみで即ビジネスを開始できるようになりました。従来は全ての業種で種々の許可取得が必要でしたが、OSS-RBAではリスクが低い分野について手続きを大幅に簡略化しています。その結果、事業開始までの時間が短縮され、特に小規模ビジネスやリスクの低いサービス業などにとって参入ハードルが下がりました。
透明性・予見性の向上
新OSSではオンラインシステム上で各事業分類ごとに必要な手続きや提出書類が明確に案内されます。また許認可処理の標準的なタイムライン(所要日数目安)が設定されており、申請者はどのくらいで許可が下りるか見通しを立てやすくなっています。これらにより企業側には手続きに関する確実性が生まれ、計画的にビジネスを進めやすくなりました。従来のように申請後の不透明な待ち時間や追加要求のリスクが減り、行政手続きの公平性・一貫性も高まることが期待されています。
低リスク事業者の事業開始ハードル低下
上記のように低リスク区分の事業者はNIBさえ取得すれば事業活動を始められるため、起業や新規進出の初期コスト・手間が軽減されています。例えば小規模なサービス業や製造業の一部でリスク評価が低とされた業種では、煩雑な許可待ちをせずに市場参入しやすくなりました。これによりインドネシア国内の中小企業だけでなく、外国企業にとってもビジネス展開のスピードを上げられるメリットがあります。
外資企業にとっての利点
OSS-RBAシステム上では、各事業分野ごとに適用される外資出資比率の制限や必要資本金要件などが自動的に表示されるようになっています。これにより、日本企業を含む外国投資家は自社の参入予定分野における出資規制や必要な許可条件を一目で把握できるようになりました。 例えばある業種で外資出資上限が49%と定められている場合、OSS-RBA上でその情報が明示されます。これは事前のビジネスプラン策定に大きな安心材料となり、「知らずに進出したら外資比率オーバーで事業許可が下りない」といったリスクを減らす効果があります。また2021年の規制改革(ポジティブリストの導入)により、通信、運輸、エネルギー、流通、建設サービス等の分野では従来の外資規制が大幅に緩和され100%外資が可能となりました。このような投資分野の拡大も相まって、OSS-RBAは外国企業のインドネシア投資を後押しし得る仕組みと言えます。
OSS-RBAの適用業種と外資規制との関連
OSS-RBAによる許認可簡素化の恩恵は業種ごとに異なります。また、インドネシアへの外国企業進出に際しては外資規制とも密接に関連します。ここでは主要な業種におけるOSS-RBA適用状況と外資規制の関係を概観します。 まず、インドネシアの外資規制について背景を押さえておきましょう。従来、インドネシアは投資分野ごとに外資参入可否を定めたネガティブリスト制度を採用しており、多くの分野で外資比率の上限や禁止業種が存在していました。
大統領令第10号(ポジティブリスト)の一部
しかし2021年に施行された大統領令第10号(ポジティブリスト)によってこのネガティブリストが大幅に緩和され、原則すべての業種が外資に開放(100%出資可能)となりました。ただし例外的に、国内中小企業(UMKM)の保護や国家戦略上重要な分野においては依然として外資参入が制限されています。
具体的には、小規模な小売業や屋台ビジネス、伝統工芸等の零細事業は外国資本では事業許可が下りず、地元資本(インドネシア人)に限定されています。また一部の業種では外資出資比率の上限が設定されており、例えば国内通信・輸送(海運・航空)・物流(クーリエ)等は49%までに制限されています 。
メディア(テレビ・ラジオ放送など)については依然最も規制が厳しく、新規参入時は外資出資が認められず、既存会社への増資という形でも最大20%までしか外国資本を受け入れられません。金融業(銀行・保険など)も別途法律で厳しい監督下に置かれており、当局(金融庁/OJK)の許可や資本要件など特有の制限が存在するため、実質的に外資参入のハードルが高い分野です。
OSS-RBA導入による進出しやすくなった業種と注目分野
OSS-RBAの導入や投資規制改革により進出しやすくなった業種も数多くあります。前述の通り、2021年のポジティブリストで通信、情報技術、運輸、エネルギー、流通(卸売・小売の一部)、建設サービスなど多くの重要分野は外資規制が撤廃・緩和されました。例えば通信(電気通信)分野は以前は外資出資比率の上限が設けられていましたが現在は100%外資が可能となり、大手通信インフラやITサービスへの日本企業の参入機会が拡大しています。またエネルギー分野では再生可能エネルギー事業が優先分野に指定されており、外資100%での発電プロジェクトも許可されるようになりました。 流通・小売も、コンビニエンスストア等のミニマート(小規模小売)を除けば大規模小売店への出資規制が緩和され、外国小売企業がインドネシアでチェーン展開しやすくなっています。さらにインフラ・建設分野では、高度技術を伴う大型プロジェクトに対する外資参入制限が緩和され、日本の建設・不動産企業にとっても新規案件参画の門戸が広がっています。このように、製造業からサービス業まで多数の業種で外資企業の進出環境が改善されており、OSS-RBAによる迅速な許認可取得と相まってビジネス展開が容易になっています。
まとめ
インドネシア政府が導入したOSS-RBAは、事業のリスクレベルに基づいた許認可制度として、企業の進出を大幅に効率化する仕組みです。これにより、低リスク事業は簡易な手続きで即ビジネスを開始可能となり、中・高リスク事業についても透明性が向上し、進出計画の見通しが立てやすくなっています。 特に、2021年のポジティブリスト導入により、従来は外資規制が厳しかった業種の多くが開放され、通信、IT、エネルギー、流通、建設サービスなどの分野では100%外資出資が可能になりました。これにより、日本企業のインドネシア市場参入のハードルが下がり、OSS-RBAを活用することで手続きの迅速化と柔軟な事業展開が期待できます。 一方で、依然として外資比率が制限される業種も存在し、金融・保険業、物流・海運、メディア業界などでは厳格な規制が残っています。特に零細事業や一部の小売業は外資参入が禁止されており、適法な進出スキームを慎重に検討する必要があります。また、高リスク事業では環境影響評価や追加の許認可が求められるため、スケジュールと手続きを十分に把握することが重要です。 日本企業がインドネシア市場で持続的な成長を実現するためには、OSS-RBAの仕組みと外資規制の最新動向を理解し、適法な進出計画を策定することが不可欠です。特に、外資100%で進出可能な業種の活用、適切なリスク評価に基づく許認可の取得、現地規制を遵守したビジネススキームの策定が成功の鍵となります。 リデルタでは、日本企業のインドネシア進出におけるOSS-RBA対応、外資規制の確認、適法な法人設立、業種別戦略の策定などをサポートしています。外資企業が直面するリスクを最小化し、スムーズな市場参入を実現するためのコンサルティングを提供します。 「インドネシア進出」「東南アジアM&A」をご検討の企業様は、ぜひ無料相談にてお気軽にご連絡ください。リデルタは、東南アジア市場における日本企業の成長を全力で支援いたします。
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